【意識的な思い出づくり】思い出(想い出)を増やし、残し、価値付ける

【意識的な思い出づくり】思い出を増やし、残し、価値付ける 思い出

 

皆さんは、思い出づくりにどれぐらい意識を向けていますか?

今回は、人にとって欠かせない「思い出(想い出)」について、各種研究、文献をもとに、思い出の増やし方、残し方などを紹介したいと思います。

この記事を読んで、意識的な思い出づくりをしてみませんか?

「思い出(想い出)」をテーマに次のポイントでまとめました。

  1. 思い出・記憶・記録とは?その意味
  2. 思い出を増やし、残し、価値付ける

良い思い出づくりをしたい方、ぜひに見てください。

本稿では、上記の「2」について紹介しています。

 

  • 思い出を増やすためには、発見と体験を意識すること。
  • 思い出の価値は、命と家を除けば、人生で最も高価で、無くてはならないものである。
  • 写真をアルバムとして残すことで、良好な家族関係が構築でき、生活上の余裕も生まれる。

 

五感で作る思い出(想い出)

【意識的な思い出づくり】思い出を増やし、残し、価値付ける(五感)

 

思い出(想い出)を残すには、「記憶」と「記録」の作業が大切で、この2つを手がかりに、私たちは過去の出来事から思い出を作り上げています。
詳しくは、別項「思い出・記憶・記録とは?その意味」をご覧ください。

 

ここでは、まず「記憶」を鮮明なまま残すために、心がける重要な点を紹介したいと思います。

思い出に残したい出来事を経験・体験する際には、五感という媒体を最大限活用し、自分の感覚を研ぎ澄まし、自身の心や感情に強く訴えかけることが必要です。

目で見て、耳で聴いて、舌で味わって、鼻でにおって、肌で感じる。
五感で出来事を捉え、得た情報から自分がどんな感情を持つか、どんな気持ちになるかによって、思い出の質・量(鮮明度、印象度など)は変わってきます。

 

例えば、五感から得られる情報とその時の感情には、具体的に、次の事例があります。

『視覚』
 情報:景色、風景、映像、絵画、雰囲気 など
 感情:美しい、綺麗、明るい、暗い、眩しい など

『聴覚』
 情報:音楽、鳴き声、自然音 など
 感情:静か、うるさい、軽快、大きい音、小さい音 など

『味覚』
 情報:料理、食べ物 など
 感情:塩味、酸味、苦味、旨味、甘味 など

『嗅覚』
 情報:自然の香り、人の臭い、生活臭、香水 など
 感情:香ばしい、甘い、臭い、爽やか など

『触覚』
 情報:感触、手触り、肌触り など
 感情:柔らかい、粗い、滑らか、温かい、冷たい など 

 

上記のように、文字で書けば、知っている事柄ばかりだと思いますが、

この当たり前だと思うことをしっかり五感で捉えることが、素晴らしい思い出づくりの要(かなめ)になります。
「日頃から、情操を養い、出来事や物事を心深くに感じ取り、感動する。」
このことを心がけてみましょう。

 

次に、思い出にとって大切な「記録」についてです。
現在のデジタル技術では、視覚、聴覚として記録する方法、つまり、写真、動画、録音といった方法が一般的です。

心と感情で「記憶」し、写真や動画で「記録」しておけば、思い出も色褪せにくくなります。

今後、デジタル技術が発展すれば、視覚、聴覚以外の味覚、嗅覚、触覚として記録できる方法が開発されるかもしれません。
そうなれば、過去の思い出と現実の区分が曖昧になり、相当過去の出来事も、昨日のことのように感じるかもしれません。そんな面白い世界になるかもしれません。

 

ちなみに、五感の中で「記憶」と最も強く結びついている感覚は、「嗅覚」と言われています。

これは、脳内の「嗅球」というニオイを感知する組織が、記憶の司令塔と言われる「海馬」の近くにあり、密接な関係をもち、相互に作用しているからだと言われています。

フランスの作家マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の中で、主人公が紅茶の香りで、過去の懐かしい記憶を思い出す場面から、匂いを嗅いだ際に過去の記憶が呼び起こされる現象を『プルースト効果』と名づけられている。

この『プルースト効果』は、2020年の大ヒット曲である、瑛人の「香水」にも、登場する効果です。

「ドルチェ&ガッパーナの、その香水のせいだよ!」

 

 

思い出(想い出)に残すなら「写真」と「動画」どっち?

思い出(想い出)として記録に残すとき、写真で残すか、動画で残すか、迷うこともあると思います。
どっちが、良いのでしょうか? 

「思い出として定着しやすい媒体は何か?」について調査した文献を紹介したいと思います。

株式会社キタムラと、成城大学の野島久雄教授が創設した思い出づくり研究所が、写真や動画などの媒体のうち、記憶が甦るきっかけとして最も影響力があるものは何か?について調査したところ、次のような結果となりました。

【意識的な思い出づくり】思い出を増やし、残し、価値付ける(定着媒体)
出典:思い出づくり研究所による15~69歳の男女1,200名を対象した調査
   「忘れていた過去の出来事や記憶が甦るきっかけとして最も影響力があるものは?

 

上記グラフのとおり、写真が 47.5%で最も多く、次いで音楽が18.0%となっており、驚くことに、映像にいたっては、6.2%と低い結果となっています。

記録を残す媒体としては、写真が最も有効的であると言えます。

 

では、なぜ、動画よりも写真の方が、思い出として定着しやすいのでしょうか。

その理由としては、まず、思い出を他人に伝えるためには、自分の中でもう一度、物語を再構築することが必須です。
写真という断片的な情報を手がかりに、自分の気持ちを入れながら、思い出を作り上げ、そして相手に出来事や気持ちをしっかりと伝えるという一連の作業を行わなければなりません。

動画は連続的な情報として完成されているため、他人に共有しても、動画を見るという作業で終わり、自分自身が感じた気持ちを入れながら思い出を作り上げ、伝えるという一連の作業が不要となります。

また、もう一つ考えられる理由としては、動画よりも写真の方が、手軽で、簡単に他人と共有しやすい媒体だからです。

動画の再生時間、動画の音量などは、共有する相手の状況や周辺環境に、気を遣わなければなりません。

以上をまとめると、別項「思い出・記憶・記録とは?その意味」の中で、思い出は、過去の事実であるかどうかは関係なく、今の自分が作り上げる「物語」であると紹介したとおり、動画という正確な情報でなくても、思い出の手がかりにさえなれば良いということです。

 

思い出(想い出)を増やす!残す‼価値付ける‼‼

【意識的な思い出づくり】思い出を増やし、残し、価値付ける

思い出をカタチに残す

皆さんは、思い出(想い出)として記録に残すために撮影した写真を、すぐに現像しますか?
それとも、データのまま保管しますか?

ズバリ言うと、きちんと現像してアルバムなどに整理した方が良いです。
すべての写真を現像するのは大変ですので、厳選した上で、写真としてカタチに残すことをオススメします。

 

大阪教育大学紀要論文(小崎恭弘・城戸楓・石田文弥)「フォトアルバムが育児に与える影響に関する検討」によると

写真を現像し、アルバムを作成した方が、育児上の悩みが軽減され、家族関係が良好になり、生活上の余裕も生まれるという結果が示されています。

たしかに、アルバムを作成していると、何気なくアルバムを見返すということが増え、「あの時どうだった」「こんなことあったなぁ」など、思い出を呼び起こすきっかけになります。

そして、見返す機会が増えれば、昔を懐かしむと同時に心の余裕が出てきたり、また家族とのコミュニケーションも増えてきたりします。

写真は、撮りっぱなしではなく、しっかり現像し、いつでも見返せるようにしておきましょう。

【意識的な思い出づくり】思い出を増やし、残し、価値付ける(写真)

  

思い出を増やす

思い出(想い出)を増やすためには、「発見」と「体験」を意識することが良いとされています。

山梨大学の木下雄一朗准教授の「観光地における旅行者の思い出形成要因の分析と体験誘発型街歩き支援システムの構築」では、観光地での出来事が、1週間後、1ヶ月後に継続的に思い出として定着したかどうか研究しています。

これによると、継続的に記憶として残る思い出には、旅行者自らの「発見」あるいは「体験」が不可欠であり、それらを増やすことが、良い思い出の増加につながるという結果を導き出しています。

たしかに、自分自身に当てはめても、旅行で発見や体験した出来事は、意外と忘れていないものです。
特に、何か新しい物事を始めたばかりの時は、発見や初体験をすることが多く、その時の記憶は鮮明に残っています。

絶対に忘れたくない思い出や、たくさん思い出を増やしたい時は、「発見」と「体験」を意識するように心がけましょう。

 

思い出を価値付ける

皆さんは、思い出(想い出)に、金銭的な価値をつけるとしたら、いくらにしますか?

突然の質問ですが、おそらく、「わからない」「価値のつけようがない」といった回答が多いと思います。

思い出は無形なので、金銭的な価値を具体的に値付けすることは難しいです。

一方で、思い出の一部となる「写真」については、どうでしょうか?
金銭的価値は、いくらぐらいになるでしょうか?

フォトブックサービスを展開する株式会社シグナルが、男女600人を対象に写真に関する調査を行った結果、「全ての思い出写真をお金に換算するとしたらいくらだと思いますか?」の質問に対して、1億円以上の価値を感じる人が、約4割にも上ることがわかりました。

さらに、「命以外に失いたくないものは何か?」に対しては、1位が家(85%)、2位が写真(75%)という結果でした。
(※フォトブックサービス「おまかせフォトブック」調べ)

このことから、命と家を除けば、思い出の価値は、人生で最も高価で、無くてはならないものというのがわかります。

 

また、このことは、行動経済学の研究でも結論づけられている事実です。

米国コーネル大学の心理学者トーマス・ギロビッチ教授は、行動経済学の研究を繰り返し行った結果、人は、圧倒的に「モノ」よりも「経験・体験(コト)」を好み、また「経験・体験」の方が、持続的な幸福が得られると、結論づけています。

コーネル大学の学生を対象にした調査においても、「物質的な買い物」よりも「経験に関する会話」の方が楽しいと感じる。という結果が得られています。

 

以上のように、経験・体験という思い出は、形に残らない儚いものである一方で、人生の中で非常に価値が高く、私たちを幸せにしてくれるかけがえのないものなのです。
言い方を変えれば、経験・体験自体が、一期一会の縁とも考えられます。

また、別項「思い出・記憶・記録とは?その意味」で紹介したように、思い出には、自己肯定感を高め、相手への思いやりなど人間性をも高めることができる重要な役割をもっています。

 

最後に、まとめると
思い出づくりでは、良い出来事も悪い出来事も、現在価値のみで評価するのではなく、未来の自分にとっての将来価値を考え、一瞬一瞬に心を動かし、楽しんでいくように心がけましょう。

   

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