人は、常に最上級を求め続け、物事の比較級を徹底的に行いながら生きている。
自律と自立をもった大人であっても、相手と自分を比較し、羨望の眼差しで相手を見上げることがある。
私も、私の妻も例外ではない。
本稿では、『愛妻家(私)の思考』として、妻の「嫉妬」について考えたいと思う。
なお、慢心については、別記事「【愛妻家の思考】慢心とは?妻が慢心していたら?」で考えてみた。
妻が夫に夢中なときは万事がうまくいく
「イギリスのことわざ」(博物学者 ジョン・レイ)
嫉妬とは? ~愛妻家の思考~
愛妻家として嫉妬する妻を早急になだめなければならないが、まずは感情そのものについて考えたいと思う。
「嫉妬」とは、嫉み(そねみ)、妬み(ねたみ)、恨み、劣等感など様々な感情が絡み合ったもの。陰険な感情である。
「嫉妬」には2つの種類があると言われている。
- 自分の愛する者が、自分以外の他人に愛情を向けた時に妬むこと
- 自分よりも優れている者、恵まれている者が、自分よりも高く評価された時に妬むこと
哲学者の三木清は、「嫉妬」について次のように表現している。
嫉妬は、自分よりも高い地位にある者、自分よりも幸福な状態にある者に対して起る。(中略)しかも嫉妬は、嫉妬される者の位置に、自分を高めようとすることなく、むしろ彼を自分の位置に低めようとするのが普通である。
「人生論ノート(嫉妬について)」(三木清)
「嫉妬」からは何も生まれない。むしろ思考が悪い方向へ行ってしまうということだ。
この「悪性の嫉妬」を如何に良性なものに変えるかが重要であり、自分自身を高め、前向きに課題解決に向かえるようにしなければならない。
そして、相手を信頼する心と、他人からの評価を素直に捉える心も同時に養わなければならない。
愛妻家(夫)がすべきこと ~妻の嫉妬~
他人への愛情に対する嫉妬
妻の嫉妬について考えてみよう。最初に、前述の2種類のうち「1 他人への愛情に対する嫉妬」についてである。
まず、「愛情」という言葉の定義だが、ここで述べる「愛情」には、博愛や愛国心、自然愛などは含まないことにする。
「嫉妬」という感情は、自分以外の他人に対して、少しでも好きという愛情を向けたときに湧いてくるもので、愛情の大小は関係ないと思う。
他人に向ける愛情が小さいから問題ない。というわけではなく、妻本人がどう感じるか、ただそれだけである。
私は結婚して以降、親や子どもへの愛情は別として、他人に好きという愛情を向けたことはない。
妻の反応を見ても、これまで嫉妬したような素振りを見せたことはない。
これは、間違いないだろう。
もちろん、世の中には綺麗で素敵な女性はたくさんいる。
テレビや雑誌を眺めれば、すぐに目につくものだ。
それは愛という感情ではない。私の中にあるただの美意識だ。
「愛」は「誓い」であり「行為」や「姿勢」を意味すると思う。
これから人生に何があろうと、億万長者になっても、どんなに有名になっても、結婚する際に誓った「愛」は変わらない。
妻には、真「心」を持って接し、妻の全てを「受」け入れよう。それが「愛」だ
評価に対する嫉妬
次に、「2 評価に対する嫉妬」についてであるが、これは熟考しなければならない問題だ。
多くの人は程度の差こそあれ、他人からの評価を気にしながら生きていると思う。
私も妻もそうだ。
改めて、「評価」というものについて考えたい。
学生の時分は、試験の点数や運動能力の優劣によってのみ評価されていたため、非常に不合理であった。
一方で大人になると、社会性や人間性を基盤に、知識、能力、体力などあらゆる視点で評価される。
さらには、評価者の偏見という何だかよく分からない要素も加わり、非常に厄介で複雑なものに変わる。
アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)という言葉を知っているだろうか。
Unconsciousは「無意識」。Biasは「偏見」である。
人は、自分では気づかない無意識な思い込みや偏見を持っているということだ。
周りの人に恵まれず苦労している人は、世の中にたくさん存在する。
その苦労人が、違う場所に行けば、一瞬にして花咲くこともある。
この実態を理解した上で、評価に対する嫉妬について考えなければならない。
もし妻が他人に嫉妬してしまった場合、その評価がどうであれ、妻には妻にしか持ち得ない魅力がたっぷりあることを伝えたいと思う。
そして、心を落ち着かせて「評価」というものには、無意識の偏見が潜んでいることを告げ、一喜一憂しないように勇気づけたい。
建設的な話ができるのであれば、劣っていると感じる部分を素直に認め、その嫉妬(シット)をヒントに変え、改善できるように協力したいと思う。
- 本来の自分の目標は何なのか。
- どの部分に劣等感を抱いたのか。
- どこか改善する余地はないのか。
上記を参考に、目の前の評価に執着せず、本来の自分の目標が何なのか再確認する必要がある。
例えば、他人が自分よりも評価され出世した場合、引け目を感じるかもしれないが、出世すること自体が自分の目標ではないはずだ。
本来の「〇〇したい」「〇〇を実現させたい」という目標を再認識するのだ。
嫉妬心に振り回され、進むべき道を見失ってはならない。
自分の道は、自分のペースで着実に進めばよい。
そして、嫉妬をきっかけに、行動意欲を向上させることが出来れば、目標に一歩近づくかもしれない。
最後に、
色々と嫉妬について考えたが、もし妻が嫉妬した場合、まずは妻の魅力をしっかり伝えようと思う。
そして、妻自身が、自分に何が足りなかったのか、改善する余地はないのかなど、嫉妬(シット)をヒントに変え、高みを目指せるようにサポートしたい。
愛妻家としてワンアップさせよう。
ちなみに、こんな面白そうな研究結果があった。
「妬みやすい人はパフォーマンスが高いのか?」(澤田匡人・藤井勉)
今の気持ちを忘れないためにココに綴る
愛妻家(愛saika)
参考文献:
「感情」の解剖図鑑(認知科学者 苫米地英人)
感情の哲学入門講義(哲学博士 源河亨)
人生論ノート(嫉妬について)(哲学者 三木清)