皆さんには「ふるさと」と呼べる場所はありますか?
都会で生まれ育った方にとっての「ふるさと」って、いったい何なんでしょうか?
今回は、そんな疑問が浮かぶ「ふるさと(故郷・古里)」について、ジブリで扱う故郷、故郷(古里)の見つけ方などを解説したいと思います。
この記事を読んで、「ふるさと」を見つけてみませんか?
「ふるさと」をテーマに次のポイントでまとめました。
- ふるさと(故郷・古里)とは?意味、役割
- ジブリで扱う故郷、東京人の故郷とは?、故郷(古里)の見つけ方
ふるさとについて興味がある方、ふるさとを見つけたい方、ぜひにご覧ください。
本稿では、上記の「2」について紹介しています。
- 「ふるさと」について、ジブリ作品(おもいでぽろぽろ、耳をすませば)に込められたメッセージがある。
- 東京人の半数以上が、「ふるさと」と呼べる場所がないと感じている。
- 「ふるさと」は、「移動」と「心に残る強い印象」で作られる。
ジブリ作品に込められた「ふるさと」 ~故郷(古里)の捉え方・見つけ方~
スタジオ・ジブリには、「ふるさと(故郷・古里)」について考えさせられる作品があります。
一つ目は、「おもいでぽろぽろ」です。
この物語は、都会で生まれた主人公の27歳の岡島タエ子が、小学生の頃に故郷がないと嘆いていた感情が再び湧き上がり、親戚がいる山形の田舎に訪れる場面が描かれています。
農家暮らしに魅力を感じながらも、重労働の農家の仕事を一時的な遊び感覚で経験していることに気づき、責任のない自分に務まる仕事ではないと考えるようになります。
この作品は、ふるさとへのあこがれと、農家という仕事に対する考えの甘さに、葛藤する物語となっています。
もう一つ、ジブリ作品は、「耳をすませば」です。
この作品は、中学生の男女の淡い恋愛物語で、小説家を夢見る読書好きな月島雫と、ヴァイオリン職人になる夢を持つ天沢聖司の二人が主人公として登場します。
この作品で、ふるさとについて触れる部分は、挿入曲にあります。
そうです。「カントリーロード」です。
この曲は、米国のシンガーソングライターの曲が元になっており、それをアレンジしたもので、「カントリーロード」は、田舎道、あるいは故郷への道を意味しています。
歌詞の一部を紹介します。
ひとりぼっち おそれずに
生きようと 夢みてたさみしさ 押し込めて
強い自分を 守っていこカントリーロード
この道 ずっとゆけばあの街に つづいてる
気がする カントリーロード
上記の歌詞を、わかりやすく訳すと、次のとおりになります。
「夢を叶えるため、故郷を離れ、新たな土地に移り、独りで寂しいながらも、強く前に進む自分がいる。それが出来るのは、振り向けば、応援してくれる人たちが住む故郷があるからだ。」
「おもいでぽろぽろ」「耳をすませば」の作品では、ふるさとに関して異なる視点で語られていますが、どちらの作品からも、「ふるさと」は、心の拠り所・安らぎを与えてくれる場所として語られ、私たちは、潜在的に「ふるさと」を欲しているということが読み取れるのではないでしょうか。
東京人にとってのふるさと ~故郷(古里)の捉え方・見つけ方~
先ほどのジブリ作品「おもいでぽろぽろ」の岡島タエ子のように、自然のない都市部で生まれ、移住することなく、ずっと都会で育った人の多くは、「ふるさと(故郷・古里)がない」と思い悩む傾向があります。
アットホーム株式会社が、東京都在住の30~60代の男女(東京出身者300名、地方出身者300名)を対象に、「故郷」に対する意識調査を行った結果があります。
「故郷」と呼べる場所が「ある」と回答した人は、地方出身者で87%、東京出身者で46%という結果となっています。
東京出身者の半数以上が、ふるさとが「ない」と感じていることが分かります。
※出典:アットホーム株式会社HP(「故郷」に対する意識調査)
東京生まれの文芸評論家の小林秀雄は、「故郷を失った文学」の中で、故郷の観念がなく、それが自分を不安にしていると語っています。
ふるさとは、単に、懐かしさを感じる場所を意味するだけでなく、心の拠り所としても重要な意味をもっており、ふるさとがない小林秀雄は心の中で不安を抱えていたことが分かります。
昔は、海外に移住するというケースはほとんどありませんでしたが、現代では、移住する人が増えています。もし、東京生まれの人が、海外に移住すれば、日本をふるさとと感じることができるのではないでしょうか。
日本と異なる、空間・風土、歴史、言葉などを肌で感じることで、日本への懐かしさや愛着が湧いてくると思います。
とはいっても、海外移住ってそんな簡単にできることではありません。
ふるさとの見つけ方については、下記で解説したいと思います。
ふるさとの見つけ方 ~故郷(古里)の捉え方・見つけ方~
都市部で生まれ育った世代が、日本人口の過半を占める現代では、ストレス社会から逃れるため、「ふるさと(故郷・古里)」という安らぎの場所を求める人が多く、“懐かしの地「ふるさと」” から “希望の地「ふるさと」” へと変化しつつあります。
そんな希望の地を、どのようにして見つければ良いのでしょうか。
別項「ふるさと(故郷・古里)とは?意味、役割」でもお伝えしたように、たとえ短期間で一時的に住んでいた土地であっても、「ふるさと」として愛着が湧いてくることもあります。
これは、要するに、「ふるさと」を生み出すためには、物理的な「移動」が必要ということです。
無理に移住しなくても、旅行で滞在した土地・ドライブで立ち寄った土地でも、「ふるさと」と呼べる場所が見つかるかもしれません。
旅行先での色々な経験、体験や新たな発見によって、その土地の空間や雰囲気に心が動かされ、感動を覚えれば、いつでも、どこでも、ふるさとに巡り合うことができるということです。
そして、ふるさとを通して、自己発見やアイデンティティの深化がなされ、一回り大きい人間になれるのではないでしょうか。
「ふるさと」 = 「移動」 + 「心に残る強い印象」
上記の公式のように、「移動」と「心に残る強い印象」が、「ふるさと」に必要なものです。
裏を返すと、これを満たしさえすれば、高齢になったとしても、複数の場所で「ふるさと」を見つけることができます。
なので、「ふるさと」を見つけたい人は、ぜひ、全国各地、色々な場所へ旅行に出かけ、心が揺さぶられる体験、経験をしてみましょう!
最後に
参考までに、総務省のふるさと納税研究会に「ふるさと」の一例が掲載されていましたので、紹介します。
- 出生地
- 過去に一定機関居住した場所
- 本籍地
- 義務教育を受けた場所
- 高等学校教育や大学教育を受けた場所
- 自分の家族が現在住んでいる場所
- 先祖の墓がある場所
- 別荘がある場所
- 余暇活動などで頻繁に訪れる場所
- 単身赴任先
- 旅行先
※出典:総務省「第3回ふるさと納税研究会(資料3)」を加筆
以上、「ふるさと(故郷・古里)」についてでした。
ふるさとを探している方、心の拠り所を求めている方々、少しでも、ふるさとについて理解が深まったでしょうか?
ふるさとには、「移動」が必須ということなので、ぜひとも、旅行へ行ってみてください。
きっと、アナタにも「ふるさと見っけ!」と言えるときが来ると思います。
この記事をご覧になったアナタの、小さなキッカケになったら、筆者としても幸いです。ありがとうございました。
記事(ふるさと)の参考文献
・青弓社『故郷の喪失と再生』(成田龍一・藤井淑禎・安井眞奈美・内田隆三・岩田重則)
・首相官邸HP『「ふるさとづくり」の推進に向けて』(ふるさとづくり有識者会議)