コンピューターおばあちゃんの知恵袋です。
苦悩・悩み相談『学校に行きたくないのは甘え?』について、少しでも力になれれば、幸いです。
苦悩・悩み相談『学校行きたくない甘え?』
高校に入学してしばらく経ってから、登校ができなくなりました。クラスのボスのような人が私のことを気に入らなかったらしく、クラス女子全員から嫌なことを言われたり、無視されました。
担当の先生もそのことを知っているはずですが、何もしてくれませんでした。(略)
出典:君の悩みに答えよう(日本青年心理学会)
不登校の子には問題があるから学校に来なくてもよいという感じだったし、迷惑だというようなことを言っていました。(略)
この悩みを読むと、本当に、心が痛みます。
「不登校」の子どもには、周りの支えが最も必要となります。
「学校に行きたくない」というのは「甘え」に聞こえるかもしれませんが、甘えかどうかの判断は、当事者でない周りの者が、咎めるものではありません。
人それぞれ「生まれ持った特性」と「生まれ育った環境」が違い、十人十色の「心の動き方」「物事の感じ方」がありますので、同じ尺度で、「甘え」という判断を下すべきことではありません。
もっと言えば、歳が若ければ若いほど、本人が自己開発(性格、能力などの開発)できる範囲・程度は狭く、現在の人格は、親や家族などの周りの者が作り上げたものなのです。
また、「学校に行きたくない」に対する最終的な解決が、必ずしも「学校に行けるようになる」ではありません。
以上のことを認識した上で、「不登校」の実態や理由、その対応策などについて考えていきたいと思います。
不登校の実態(不登校の生徒数)
まず、「不登校」の定義について紹介します。
文部科学省では、
「不登校」は、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景から、欠席日数30日以上の生徒」と定義しています。
そして、不登校の生徒数は、文部科学省の2015年度と2020年度(平成27年度と令和2年度)の調査結果では、次のようになっています。
2020年度では、小・中・高の全体で、約24万人の不登校の生徒がおり、2015年度の約18万人に比べ、6万人も増加している状況です。
不登校の理由とその対応策
次に、なぜ、学校に行きたくないのか、不登校の理由について、解説します。
不登校の理由は、「どうしても馴染めない。」「イジメられるから行きたくない。」など、さまざまですが、大きく分類すると、次の2つに区分できます。
- いじめなどの外的影響によって不登校になる
- 根本的に学校に馴染めない・行く気にならないなどの内的影響によって不登校になる
外的影響から、精神的な苦痛を感じ、不登校になったり、そもそも学校という環境自体が、本人に合わないという理由から不登校になったりします。
では、不登校の原因である、この「外的影響」や「内的影響」が発生した場合、どのように対応すべきなのでしょうか?
外的影響が発生した場合
無理に学校に行くと、ますます精神的に辛くなりますので、あえて不登校という選択肢をとり、一度、学校から距離をとる必要があります。
外的影響が発生した時、悩んでいる当事者(学生)であれば、親に相談することが賢明ですが、親を頼れないのであれば、市町村などの相談所への電話、先生への相談など、頼れる者に助けを求めてください。
もし、登校を再開しようと思った場合、無理に、今まで登校していた学校に行く必要はなく、環境を変え、他の学校に転校することも良いでしょう。
もっと言えば、このご時世なら、自宅で勉強するという手段でも良いと思います。
内的影響が発生した場合
まずは、「周りのみんながやっているように、毎日学校に通い、勉強しなければならない。登校することが普通だ。」と思い込むことはやめましょう。
今は、たまたま行きたくないと思う時期なのかもしれません。
もし、行きたいという気持ちが湧けば、再び、学校に行けば良いですし、今の学校ではなく別の学校に興味があれば、転校すれば良いと思います。
また、自分の興味が持てる分野や、自分が好きな分野を、すでに見つけているのであれば、自宅でそれに熱中することも選択肢の一つです。
学校の目的と代替策
上記で、不登校の理由について解説しましたが、
不登校の学生やその親御さんが、不登校について悩んでいる事といえば、「今、学校で学ぶべきことを学ばなければならないのではないのか?」と考えていることです。
これは、とても真っ当な考えですが、
逆に言えば、学校で学ぶべきことを、学校以外の場所で学べば良いということにもなります。
学校では何を学ぶのでしょうか?
学校の目的は何なのでしょうか?
文部科学省の「学習指導要領」では、学校の目的について、次の「育成すべき資質・能力の三つの柱」を示しています。
- 人間性(どのようにして、より善い人生を送るか)
- 知識・能力(自分は何が得意で、何が苦手なのか)
- 思考判断・表現(知識・能力をどう活かすか)
この3つが、学校で学ぶことです。
1つ目の人間性では、人生の「あり方を知る」ということです。
人として、どう生きるのか。について理解するためには、自分という自己中心的な立場ではなく、周りの人たちのために、自分はどう行動し、どう生きていかなければならないのかを知ることです。
生んでくれた親への感謝、そして、他人への思いやりや、世のため人のために貢献するという気持ちを育むことが必要です。
2つ目の知識・能力では、「我を知る」ということです。
自分の性格、能力、長所、短所などをしっかり認識し、自分が「できることは何か?」「できないことは何か?」「したいことは何か?」「したくないことは何か?」を把握することです。
また、ここには、一般的な知識や常識を学ぶこと(いわゆる勉強)も含まれます。
知識・能力は、主に、外部情報を自分の内部に取り込み、吸収すること。とも言い換えれます。
3つ目の思考判断・表現では、「やり方を習う」ということです。
得た知識や習得した能力をどう応用して、問題解決していくのか、そのやり方を習得することです。
これは、先ほどとは逆で、自分の考えを外に出して、表現すること(言葉に出す、文字で書く、身体で表現するなど)です。
身につけた知識や能力を、実践的に使い、上手く使えるように鍛えるということです。
以上のように、「不登校」で学校に通えない場合は、「育成すべき資質・能力の三つの柱」を意識して、生活するようにしましょう。
最後に、不登校の経験をしたタレントの山之内すずさんの言葉を紹介します。
17歳でひとりで上京して 東京の通信制の高校入り直して ちゃんと卒業はしたよ
山之内すず(タレント、女優)
学生時代色々あって中々学校にいけない時期があって、もっとちゃんと行ってたらよかったなあと思うけど
あの時の自分を守る方法はそれが最善だったから間違ってなかったと思ってる
「コンピューターおばぁちゃん」こと
「しげこ」より